布団に入って電気を消したのに、頭の中が静かにならない。過去の失敗や、言われた一言、これからの不安が、次々に浮かんでくる。眠いはずなのに、眠れない。夜になるのが、つらく感じる日もあると思います。そんな夜はありませんか。
私は精神科看護師として、20年働いています。そんな私も、考え事で眠れない夜を、何度も経験しました。暗くして横になっても、1時間たっても、2時間たっても眠れず、悪かった出来事ばかりが思い出される。その悪循環のつらさは、よく分かります。
この記事では、私の経験と、公的な情報や専門機関の解説をもとに、眠れない夜の過ごし方をまとめます。眠れない夜に、無理をしなくていい。そのことを、お伝えしたいと思います。
- 布団に入ると、考え事が止まらない
- 嫌な出来事を、何度も思い出してしまう
- 眠れないことが、さらに不安になる
- 眠るために、お酒に頼ってしまった
早く寝なきゃと思うほど、眠れない。
焦るほど、眠りは遠ざかります。無理に寝ようとしない方法を、紹介します。
考え事で眠れない夜に起きること

考え事で眠れない夜には、心にも体にも、いろいろな変化が出ます。ここでは、私が実際に経験したことを紹介します。ここでお伝えするのは、診断や病気の判断ではありません。あくまで、私が感じたことです。当てはまる点があれば、「自分だけではない」と思ってもらえたらうれしいです。どれも、特別なことではありません。順番に、見ていきましょう。
浮かぶのは後悔と不安
眠れない夜に浮かぶのは、ネガティブな内容ばかりでした。
- 過去の失敗や後悔
- 相手の心ない一言
- 今後の不安
昼間は考えないようにしていたことが、夜になると、静けさの中で大きく感じられました。
体にも症状が出る
考え込んでいるときには、体にも症状が出ました。
私の場合は、ドキドキ感、息苦しさ、頭痛です。心の緊張が、体にも出ることを、実感しました。体の症状が強いときや、不安なときは、医療機関に相談してください。
考えが悪い方向に偏る
眠れないと、考えが、悪い方向に偏りやすくなります。
疲れているときほど、出来事を悪く受け取りやすい。私は、そう感じています。夜の考えを、そのまま信じすぎないことも、大切だと思います。
眠れない夜にやりがちな逆効果

眠れないと、なんとか眠ろうとして、いろいろなことを試したくなります。しかし、中には、かえって眠りを遠ざけてしまう方法もあります。私自身の失敗も含めて、やりがちな3つを紹介します。同じ失敗を避けてもらえるよう、正直にお伝えします。眠れない夜の行動を、見直すきっかけにしてください。やめるだけで、少し楽になることもあります。
無理に寝ようとし続ける
私は、電気を暗くして、横になって、寝ようとしたことがあります。しかし、1時間たっても、2時間たっても、眠れませんでした。
悪かった出来事が、何度も思い出されて、悪循環になりました。眠ろうとするほど、眠れないのです。
寝酒で眠ろうとする
20代のころは、毎日お酒を飲んでいました。今は、ほとんど飲みません。
眠れずに、お酒の力で、強制的に寝たこともあります。ただ、厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイドでは、眠るための飲酒(寝酒)は、睡眠の質を悪くする可能性があるとされています。寝酒は、おすすめできません。
寝床でスマホや時計を見続ける
眠れないと、スマホを見たり、時計を何度も確認したりしたくなります。
- 時計を見ると、焦りが強くなる
- スマホの画面は、目が冴えやすい
睡眠ガイドでは、寝室にスマホを持ち込まないことも勧められています。寝床では、画面を見続けないようにしましょう。
眠れない夜にできる4つの対処法

ここからは、眠れない夜にできる対処法を、4つ紹介します。前半の2つは、私が実際にやっていることです。後半の2つは、専門機関の解説などで紹介されている、一般的な方法です。合いそうなものを、ひとつだけ試してみてください。合わなければ、無理に続ける必要はありません。どれも、特別な道具はいらない方法です。
無理に寝ようとせず寝床を離れる
私は今、無理に寝ようとしないようにしています。
一般的にも、眠れないまま長く寝床にいるより、いったん寝床を離れて、眠気が来てから戻る方法が紹介されています。目安として、15〜20分という数字がよく出てきます。ただ、これはあくまで目安です。
少し歩いて体を動かす
私は、少し歩くようにしています。体を動かすと、頭の中の考え事から、少し離れられます。
ただし、夜は、安全に気をつけてください。家の中でゆっくり歩くだけでも、十分です。
音楽に意識を向ける
私は、イヤホンをして、音楽を聞くこともあります。音楽に集中するためです。
今は、ヒーリングの音楽を、YouTubeで聞いています。ただし、スマホの画面は、見続けないようにしましょう。音に意識を向けることが、ポイントです。
考えを紙に書き出して区切る
ここからは、私の経験ではなく、専門機関の解説で紹介されている方法です。
- 寝る前に、気がかりなことを、紙に書き出す
- 解決策は、書かなくてよい。ただ並べる
- 「続きは、明日考える」と区切りをつける
頭の中だけで考えるより、書き出して、頭の外に出すほうが、気持ちが落ち着くと紹介されています。
寝る前に整えたい習慣

眠れない夜を減らすには、寝る前の過ごし方を整えることも、大切です。厚生労働省の睡眠ガイドには、睡眠の質を高めるための工夫が、いくつか紹介されています。ここでは、そのうち、取り入れやすい3つを紹介します。無理のない範囲で、ひとつずつ試してみてください。どれも、毎日の中で取り入れやすいものばかりです。
入浴で体を温める
睡眠ガイドの解説では、就寝の1〜2時間前に入浴して、体を温めると、入眠しやすいとされています。
ぬるめの湯で、ゆっくり温まるのがよいと紹介されています。湯船が苦手な人は、シャワーでも構いません。ただし、就寝直前は避けましょう。
夜の飲酒や夜食を控える
就寝直前の夜食や、眠るための飲酒は、控えることが勧められています。
私の経験でも、お酒で寝ても、すっきりとは眠れませんでした。眠るための飲酒は、やめておきたい習慣です。
寝室を暗くしてスマホを持ち込まない
寝室には、スマホやタブレットを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが、推奨されています。
私は、音楽を聞くためにスマホを使うことがあります。画面を見続けないなど、使い方には、注意が必要だと感じます。
精神科看護師として伝えたいこと

眠れないのは、本当につらいことです。精神科の現場で働いてきて、眠れないことが、心に与える影響の大きさを、実感してきました。ここでは、私が、眠れない夜に考え込んでいる人に、いちばん伝えたいことを、3つ紹介します。ひとりで抱え込まないための、ヒントにしてください。読み終えたあとの、小さな支えになればうれしいです。
眠れないのはつらいこと
眠れないと、悪い方向に、考えが偏ります。
それは、あなたの弱さではありません。眠れないこと自体が、つらいのです。まずは、そのつらさを、認めてあげてください。
悪い方向に偏るのは疲れのせいかもしれない
夜に浮かぶ考えは、疲れていると、より悪く感じやすいと、私は考えています。
だからこそ、夜に答えを出さないことが大切です。明るい時間に、もう一度考えてみると、見え方が変わることがあります。仕事の嫌なことを引きずる気持ちについては、仕事の嫌なことを家まで引きずる時の切り替え方も、参考にしてみてください。
話せる人が少なくても相談先はある
私は、あまり人には話しません。身近に、話せる人が多くないこともあります。
それでも、相談できる場所はあります。次の章で、紹介します。声のかけ方については、しんどそうな人への声のかけ方の記事もご覧ください。
つらさが続く時の相談先

工夫をしても、眠れない夜が続くことがあります。そんなときは、ひとりで抱え込まず、専門の窓口を頼ってください。相談することは、弱さではありません。早めに相談することで、楽になることもあります。ここでは、相談先の考え方を、3つに分けて紹介します。迷ったときの、目安にしてください。
メンタルクリニックの受診を考える
私は、ある程度、眠れない状態が続くときや、眠れないことがつらいときは、メンタルクリニックなどの受診を考えるとよいと思います。
厚生労働省のe-ヘルスネットでも、家庭での対処で改善しないときは、専門医に相談するよう勧められています。詳しくは、e-ヘルスネットの不眠症のページをご覧ください。我慢しすぎないことが、大切です。
職場や地域の相談先を使う
働く人向けの窓口もあります。厚生労働省のこころの耳は、匿名・無料で、電話、SNS、メールで相談できます。
- 職場の上司や産業医
- 人事や、社内の相談窓口
- こころの耳
話しやすいところから、ひとつずつ当たってみてください。
命に関わる時は迷わず連絡する
命に関わる危険を感じたときは、迷わず110番・119番、または医療機関に連絡してください。
体の症状が強いとき、たとえば息苦しさが続くときなども、ためらわず医療機関に相談しましょう。
眠れない夜に関するよくある質問

ここでは、眠れない夜について、よく聞かれる質問にお答えします。個別の事情によって、適した対応は変わります。あくまで一般的な考え方として、参考にしてください。つらさが強いときや、続くときは、専門の窓口や医療機関に相談することも、考えましょう。疑問が解けるだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
眠れないのは性格のせいですか?
性格だけで決まるものではないと、私は考えています。疲れや不安が強いときは、誰でも眠りにくくなります。自分を責めないことが、大切です。
布団の中で考え事が止まらない時はどうしますか?
無理に止めようとすると、かえって強まることがあります。いったん寝床を離れたり、気がかりなことを紙に書き出したりする方法が、紹介されています。考えを頭の外に出すのがコツです。
寝酒は少しならいいですか?
厚生労働省の睡眠ガイドでは、眠るための飲酒は、睡眠の質を悪くする可能性があるとされています。控えることが勧められているので、寝酒には、頼らないほうがよいと考えます。
何日眠れなければ受診したほうがいいですか?
一概に、日数では決められません。眠れない状態が続くときや、眠れないことがつらいときは、早めの相談が勧められています。迷ったら、早めに相談してみてください。
睡眠薬は使ったほうがいいですか?
使うかどうかは、医師と相談して決めるものです。e-ヘルスネットでは、睡眠薬は、適切に使えば安全とされています。自己判断せず、医師に相談してください。
まとめ

眠れない夜は、本当につらいものです。無理に寝ようとせず、寝床を離れる、少し歩く、音楽に意識を向ける、紙に書き出す。できそうなことから、ひとつ試してみてください。それでも眠れない状態が続くときは、メンタルクリニックなどの窓口に、相談してみましょう。最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 眠れない夜に、無理に寝ようとしない
- 寝酒に頼らない
- 寝床を離れる・歩く・音楽・書き出すを試す
- 夜の考えは、疲れで悪く偏りやすい
- つらさが続くときは、メンタルクリニックなどに相談する
まずは今夜、眠れなくても、「眠れない夜も、あっていい」と、自分に言ってあげてください。その一言が、あなたの「ひといき」になるかもしれません。

